ナイフ用語集

【ア】

アーカンサストウースピック
先端が鋭くとがった、先細りの短剣。元々は、ボウイナイフの別名だったが、ハリウッド映画「アイアン ミストレス」の中で、大き目の短剣がアーカンサス トゥースピックと呼ばれたこと、またその後、ランドール社が、いわゆるボウイナイフとこのタイプの短剣をセットにして製作し始め、やはり同名で呼んだことなどから、この呼称が定着した。

アイボリーマイカルタ(lvory Micarta)
 
紙を積層にし、エポキシ系樹脂に侵漬し、加圧成形したもの。
 アイボリー色に仕上り、美しいが、ハンドル材としては、リネンマイカルタやキャンパスマイカルタに比べ強度がかなり劣る。
  


【イ】

154-CM鋼(154-CM Steel)
 154-CMは、AISI(米国鉄鋼協会)の規格番号ではなく、米・クルーシブル社の商品名。AISI規格では618番。
 高温軸受(上限50℃)として、ボーイング707に使用された鋼種。15はクロム含有率15%を、4はモリブデン含有率4%を表わす。
 ラブレス氏が、ナイフにこの鋼を初めて使い、以来、ATS-34鋼登場まで、カスタムナイフ用鋼の代名詞にまでなった。
 高温でも強度を保ち、耐食性、耐摩耗性にもすぐれた信頼性の高い鋼。

インターフレーム
  金属で作ったハンドルを様々な形にくり抜き、その中に貝、アイボリーなどを隙間なく、はめ込んだハンドル。この細工は主としてポケットナイフに用いられるが、ボウイナイフやダガーのハンドルにも使われる。
 

インテグラルナイフ(lntegralKnife)
 1枚の鋼材からブレード、ヒルト又はボルスター、エンドボルスターを削り出す、一体化構造の頑丈なナイフ。
 

インブループドハンドル
 ラブレス氏の友人で、ラムユーティリイティーで有名な工業デザイナーのトーマス・ラムによってデザインされたハンドル。
 フィンガーグルーブ、の改良型ハンドルで、ヒルト兼用の人差指のかかる小さな凹状溝と、
 中指、薬指、小指のかかる大きめの凹状溝の2つの溝で構成されるハンドル形状。

インレイ
  ハンドル材の中に、エスカッション板、ネームプレート、その他のものを隙間なく、埋め込む技法。

【ウ】

ウッドマイカルタ(Wood Micarta)
 飛行機のプロペラに使用される積層合板。削り出すと、独特の美しい等高線模様が出る。
 キャンバスマイカルタが登場するまで、ラブレス氏もハンドル材として好んで使ったが、
 欠けたり、剥離したり、強度的に問題があり、最近はあまり使用されていない。
 

【エ】

鋼  
日立金属が開発した、ナイフ用鋼、耐蝕性、耐摩耗性、靭性など、あらゆる面で他の鋼をしのぐ高品質の鋼。
現在では、国内のみでなく、アメリカでも、ラブレス氏を始め、有力なカスタムナイフメーカーが採用している。

エスカッション板(Escutcheon)
 ナイフの持主の名前や文字を彫刻するためにハンドル側面に埋め込まれる金属板。
 

エングレービング(Engraving)
 ブレード、ヒルト、エスカッションなどに、画像や、文字を彫刻する技術。S.リンゼイ、H・H.フランク、L.マッケンジーなどが有名。
 

【オ】

オイルストン(OiIStone)
 砥石の1種。油砥石ともいう。天然のものもあるが、カーボランダムやアランダムを焼き固め人工的に造ったものの万が一般的。白灯油など粘度の低い油をかけながら使う。

オブバース(Obverse)
 刃を下向きにしてナイフを握った時に左側になるブレード面。普通この面にメーカーが銘を入れる。

【カ】

ガード(Guard)
 ハンドルとブレードの境目につく鍔のこと。ガード、又は、ヒルトといった場合には、ポルスターと異り、必ずキリオンが付く。古い表現で、ヒルトの方が一般的。

【キ】

キリオン(Qullion)
 指を保護するための突起物。ハンティングナイフの様なシングルエッジナイフの場合には、ヒルトやガードの下方に、又、ボウイナイフ、ファイティングナイフなどのダブルヒルトの場合には、上下両方に付いている。

銀ロウ付け(Soはering)
 ヒルトとブレードの合せ目の隙間から、水や血液などが入ると、ハンドル内部でナイフにサビが発生する。
 それを防ぐために隙間を密閉する作業が銀ロウ付け。作業時の熱でブレードが鈍らない様に、
 融点が220℃位の低融点の銀ろうが使用される。最近ではエポキシ系の接着剤や、焼いて硬化する銀を使用したりする。

【ク】

クラウンスタッグ(Crown Stag)
 鹿角のつけ根の王冠状の部分。
 

クリップポイント(Clip Point)
 ポケットナイフのブレードの一種。上刃がボウイナイフの様に凹状のものと、ラブレスのファイティングの様にストレートのものとの2種類ある。

グリップ(Grip)
 ナイフの握りの部分。

【ケ】

経年変化
 鋼やハンドル材などを長期間放置した場合に起こる、寸法、形状、組織のわずかな変化のこと。

ケーパー(Caper)
 獲物の頭皮や目の回りの解体など、デリケートな仕事に適した形状のナイフモデル。

【コ】

光輝熱処理(Bright Heat Treatment)
 熱処理彼の鋼の表面に酸化、脱炭などの肌荒れを生ずることなく処理前と同様の金属光沢が得られる熱処理方法。
 光輝熱処理として代表的なものは、真空炉、窒素、アルゴンなどの不治性ガス炉、COガス、アンモニアガスなどの還元炉、塩浴炉(ソルトバス)がある。

硬度(Hardness)
 焼入れ、焼もどし、両熱処理後の鋼の硬さ。一般的にロックウェル氏硬度計、Cスケールで測定され、HRcで表示される。
 もし、HRc60とあれば、その鋼は、ロックウェル硬度cスケール60という事になる。
 なおHはHardnes、RはRock-Well、Cはcスケールを示す。

コンバットナイフ(Combat Knife)
 刃長が12cm-25m位までの、ダブルヒルト(キリオンが上下に付き出しているヒルト)のファイティングナイフ。普通はダブルエッジ(両刃)だが、中には片刃のデザインもある。

コンシ-ルドタング 
 タング全体を、薄くカットしたハンドル材で囲み、両側からすり合わせて固定している。
 ハンドルの周囲に露出する金属部分がなくなるため錆びることがない。
 しかし、ハンドルの擦り合わせが悪いと、内部まで湿気などが入る。
 ウッド、スタッグなどの天然素材は呼吸しているため、いっそう、遊びが生じやすくタングが腐食することがある。
 

コンベックスグラインド(Convex Grind)
 ブレード断面が、外側に凸状の、いわゆる蛤刃のこと。

【サ】

サイドロック(SideJock)
 フォールディングナイフのロック機構が、藤本ナイフの様にハンドルの側面についているもの。

サテンフィニイツシュ(Satin Finish)
 パフレースに、フラップホイル、不織布ホイールなどの研摩用具を取りつけ、それにブレードを押しつけ、エッジラインに対して直角に不連続のスクラッチ模様をブレード面につける仕上げ法。

サバイバルナイフ(SurvivalKnife)
 未開地で生き延びるのに役立つ、多くの工夫がこらされた多目的ナイフ。

サブゼロ処理(Subzero Treatment)
 深冷処理とも言う。一般的には焼入れ処理した鋼を、焼きもどし処理をする前に、-73℃位の低温下で保持し、鋼の組織を安定させるために行なう熱処理の一つ。高温で焼きもどす鋼種(ATS-34、154-CMなど)には必要がない。

サブヒルト(Sub Hilt)
 有名なラブレスのビックベアーの様に、大型のファイティングナイフに見られるヒルトで、
 前方のメインヒルトの後方につく比較的小型のヒルト。
 

サンドブラスト(Sandblast)
 熱処理でナイフ表面に付着した酸化皮膜を除去するためや、ブレードが光を反射するのを防ぐために、砂又は鋼球を砂吹き機を用いてナイフに噴射し、ブレード面を削る作業。

サンバースタッグ(Samber Stag)
 ハンドル材として用いられる、インド産大鹿の角。
 

【シ】

シース(Sheath)
 ナイフを入れる鞘。普通は皮製だが、ボウイナイフ、タガーなどの場合には、金属、木、アイボリーなどが使われることもある。
 

シースナイフ(Sheath Knife)
 ハンティングナイフ、キャンピングナイフの様に、シースに入れて持ち運ぶ固定刃ナイフの総称。フィックスドブレード(固定刃)ともいう。

シュナイダーボルト(Schneider Bolt)
 袋ナットを使ったニッケルシルバー製のファスニングボルト。H・J・シュナイダーが好んで使うためこの呼称がついた。
 

真空焼入れ(Vacuum Hardening)
 焼入れのための、加熱、冷却操作を真空中の炉(真空炉 Vacuum furance)内で行なう熱処理法。
 真空中で加熱されるために、ナイフ表面が酸化されず、きれいなナイフ表面肌が得られる。

しんちゅう(Brass)
 銅と亜鉛の合金。ヒルト材としては最もポピュラーだが、手入が悪いと表面に緑青を吹く。

靱性
 鋼の衝撃に対する強さや、粘り強さを意味する。硬さとは相反する。

【ス】

スエッジ
 ナイフの背に刃をつける目的で作成された「背側にもブレード面」があるような構造のもので、背側に刃をつけている状態をいう。

スキナー(Skinner)
 皮はぎ用ナイフ。エッジラインが大きな円孤を描く様に、ポイントが上方を向いたブレード形状になっている。

スクリムショー(Scrimshaw)
 ハンドル材表面に毛彫り用針で傷をつけ、色を差して模様を彫り込む技術。
 

ステイレット(Stiletto)
 刃の非常に薄い、刺す事を目的としたブレード形状のナイフの総称。

ストックアンドリムーヴ(Stock&Remove)
 バンドソー、弓ノコなどを使い、鋼板から、ナイフの外形を切り出し、ベルトグラインダー、ヤスリなどの工作機械、工具を用いてナイフを作り出す方法。カスタムナイフの一般的な作り方。ラブレスが考案した削り出しによるナイフの作成法。この方法が確立されてから、それまでは鍛冶屋の仕事であったナイフ作りが、誰にでも出来る様になった。

スリップジョイント(Slip Joint)
 刃の固定装置を持たない型式のフォールデイングナイフ。
 固定装置とは、ナイフを使用時に、誤って刃を閉じないように刃をロックするための機構。

【ソ】

ソルトバス
 焼入れ用炉の一種。塩浴炉とも云う。塩化バリウムや食塩などの塩類を溶融し、その中にナイフを入れて加熱する。

ソングホール(Thong Hole)
 タングの後方に付けられる、ヒモ通し用の穴。
 

【タ】

耐蝕性(Anticorrosion)
 鋼の腐蝕に対する強さ。 鋼にクロム:Crが13%以上含有されると、鋼の表面に腐蝕に対して強いクロムの極薄い酸化皮膜ができ、それが鋼を腐蝕から保護することは良く知られている。また、クロムの含有率に関りなく、同鋼種ならば、正しく、焼入れ一焼もどしの熱処理を受け、充分に硬化した鋼を鏡面仕上げしたものの耐蝕性が最上である。

ダイス鋼(Die Steel)
 耐摩耗性、刃持性の高い高炭素、高クロム鋼。本来、金型の材料として使用される。
 ナイフ用には米国鉄鋼協会規格:AISI、D2鋼種(JIS規格ではSKD-11種)が用いられる。

ダイヤモンドカッター(Diamond Cutter)
 刃先にダイヤモンドを埋め込んだ超硬バイト。熱処理後の硬化したブレードに名前を彫刻する場合などに使う。

ダガー(Dagger)
 上刃と下刃が相似形のブレードを持つ、ダブルエッジのクラッシックデザインのナイフ。

ダブルヒルト(Double Hilt)
 ファイティングナイフ、ボウイナイフ、ブーツナイフの様に、キリオンがヒルト上下に飛び出しているもの。

ダマスカス鋼(Damascus Steel)
 ダマスカスナイフの材料となる鍛造鋼。2種類の金属を重ね合わせて造られるため、各金属の長所が組合わされた優秀な特質を備えている。鉄と鋼、あるいは純度の高いニッケルと鉄または鋼などの組合せがある。 鍛造の段階で、重ね合わせた異種の金属板に、折り返しや切り重ねを何回もくり返す。そのため、完成時には多数の金属層が形成され、独特の美しい縞模様が現れる。
 

タング(Tang)
 ハンドル材を取りつけるためのなかご、こみ。ナロータングとフルタングなどがある。

【チ】

チェッカリング(Chequerlng)
 ナイフの背や腹に、筋目ヤスリや、組みヤスリを使い、滑り止めのクロスの溝を切ること。
 一方向の溝は「リヴィング」という。

チョイル(Choil)
 ブレードのリカッソに近い元の部分をいう。フォールディングのブレードに多い。

【テ】
D-2(D-2 Steel)
 刃持の良い事で有名な鋼。サビに対しては弱い。同時に鏡面仕上げが難かしい鋼。

デタッチャブル(Detachable)
 その名の通り、ブレードが自由に取りはずせ、一つのハンドルで数種類のナイフとして使えるナイフ。

【ト】

ドロップポイント(Drop Point)
 スペアポイントの変形で、ポイントがブレードのセンターラインに向って下っている、ラブレスによって完成されたブレード形状。

【ナ】

ナロータング(Narrow Tang)
 タングの部分の巾が、ブレード巾に対してナロー、即ち巾狭なタング。タングの最後部にダイスで雄ネジを切る。穴を開けたハンドル材にそれを通し、エポキシ系接着剤で充填接着して装着し、メスねじをネジで留めてナイフをハンドルに固定する。
 

【ネ】
ネールニック(NailNick

 ネールマークと同じ意。

ネールマーク(NailMark)
 フォールディングナイフ、ポケットナイフのブレードを起すためのつめかけ。

熱処理(Heat Treatment)
 金属に、用途に応じて必要な特質を与えるために行なう、加熱と冷却の組み合せ繰作。
 刃物鋼の場合は、焼き入れ、焼き戻し、焼きなましなどの総称。

【ハ】
ハーフタング(Half Tang)
 フルタングモデルの1種。フルタングのタングが、ハンドル長さの2分の1程に切りつめてあり、エポキシ系接着剤で充填接着したり、ピンで固定したりする。
 

ハイス鋼(High Speed Steel)
 高速度工具鋼(High Speed Steel)の略。成分中にW(タングステン)を多量に含むタングステン系ハイスと、Mo(モリブデン)を含むモリブデン系ハイスに分れる。ナイフに用いられるMl、M2などの呼び方は、米国規格の名称で、モリブデン系ハイスである。

バット(butt)
 ハンドルの後端の部分。ポメルともいう。

バットキャップ(Butt Cap)
 ナロータングナイフのハンドル後端に取りつける一種のつか頭。金属、その他の材料が使われる。
 

バフ仕上げ(Buff Finish)
 モーターにバフと呼ばれる柔らかい、または、硬い布製の円盤をつけ、外周に研摩材を塗り、バフを回転させて加工対象物の表面を研摩し、鏡面、なし地などに仕上げる方法。

ハンティングナイフ(Hunting Knife)
 狩猟用のワーキングナイフ。ブレードデザインが、作業内容に応じて専門分化している。刃長7㎝~15㎝程度のシングルエッジ、シングルガードのものが多い。

刃持性(Edge Holding)
 鋼の摩耗に対する強さ。硬度と相関関係にあり、ある程度までは硬度に比例して耐磨耗性も向上する。しかし、この特質は同時に刃付のしにくさにも通じるので注意が必要。

【ヒ】

ピボットピン(Pivot Pin
 フォールデイングナイフのブレードを、起こしたり、たたんだりするときの回転軸となるピン。

ヒルト(Hilt)
 ブレードとハンドルの間にある、指の滑り止めのための突起をいう。ガードと同じ目的のもの。ただしキリオンがないタイプもある。ガードよりヒルトの方が現在では一般的。

【フ】

ファイティングナイフ(Fighting Knife)
 コンバットナイフの1種。クリップポイントのボウイナイフを現代風にアレンジしたものが多い。
 これ以外のコンバットナイフは、峰にノコ刃をつけたものや、釣り針や糸、薬などの小物を収納できるパイプ状ハンドルを持つものなど、サバイバルナイフとしての要素を多く取り入れたタイプを指す。

ファイバースペーサー(Fiber Spacer)
 フルタングナイフのハンドル材とタングの間、ナロータングのヒルトとハンドルの間、あるいはバットキャップとハンドルの間などに取りつけられるファイバー製の薄板。デザイン上のアクセントとなる他、ハンドル材とタングをしっかりと接着固定する媒体の役目を果たす。

ファスニングボルト(Fastening Bolt)
 フルタングナイフのハンドル材を、タングに固定するためのラブレスボルト、シュナイダーボルトなど。

フィックスドブレード(Fixed Blade)
 折りたたみ式のフォールデイングナイフに対し、シースナイフのような固定式のナイフの総称。

フィッティング(Fitting)
 ナイフを形づくっている種々のパーツの、接合の状態をいう。また、シースナイフについて、「オール ステンレス フィッティング」とか、「オール ブラスフィッティング」などということがある。これは、ヒルト、ファスナーボルト、ヒモ通し穴に、それぞれステンレス、ブラス(黄銅)を使っているととの意味。

フィニッシュ(Finish)
 ブレード面の最終仕上げ。ミラー、サテン、ヘアーライン、サンドブラストなどの種類がある。

フィンガーグルーブ(Finger Grooves)
 スキーのストックの様に、滑らないように指の形に切削加エしたハンドル。
 

ブーツナイフ(Boot Knife)
 ブーツに着装する護身用ナイフ。比較的小型で、ブレードは8~13㎝程度。

フォールズエッジ(False Edge)
 ナイフの背中に刃をつける目的で作成された「背側にもブレード面」があるような構造のもので、背側に刃をつけていない形状をいう。

フォールデイングナイフ(Folding Knife)
 折りたたみ式ナイフ。

フラットグラインド(Flat Grind)
 断面がⅤ字型になる様にブレード面を平面に(フラット)グラインドする方法。少しの歪みもなく、正確なフラット面にすることは非常に難しい。メーカーの技量が一目で判別されるグラインド法。

プラテン(Platen)
 ベルトグラインダーに取りつける鋳鉄の板で、フラットグラインドやテーパータングなどの加工に使う。

フルタング(FuIITang)
 ラブレスナイフに代表される型で、タングの形がハンドルデザインと同じになっているモデル。
 2枚のハンドル材をピンやリベット、ファスニングボルトなどで両側から固定する形式)極めて堅牢だが、ハンドル外周に鋼が露出するので、サビやすい鋼材には不向きな型。

フルテーパードタング(FullTapered Tang)
 ナイフの重量バランスを調整するため、ヒルトの部分から後方に向かって、タングの両側面を対称に薄く加工したタング。ラブレス氏の考案した型で、フルタングモデルの場合、テーパードタングになっていないものは、カスタムナイフとは認められなくなっている。
 

【ヘ】

ヘアーラインフィニッシュ(Hair Line Finish)
 耐水ペーパーやサンドペーパーを使って、ブレード面にスクラッチ模様(条痕模様)を施こし、付加価値を高める仕上げ方法。ラインはエッジラインと平行な方向につける。フォールデイングナイフに多いが、ボルスターにもヘアーラインをかけることがある。世界共通で「Hand Rubbed Finish」と呼ばれる。

ベルトグライダー(Belt Grinder)
 鉄や鋼など、硬い材料を、回転する研摩ベルトで切削加工する工作機械。
 サンディングベルトを交換することにより、「粗~細」など、多様な削りができる。 
 現在では、 ナイフメーキング専用の国産機も販売されている。
 砥石グラインダーとちがって、砥石の破壊にともなう事故の心配がない非常に安全な機械。
 ボール盤とともに、ナイフメーキングの最もベーシックな道具。

【ホ】

ボウイナイフ(Bowie Knife)
 一般的には、8~10インチブレードのクリップポイントの大型格闘用ナイフをいう。1836年アラモ砦で死んだ、有名なジェームズ・ボウイが使ったが、デザインを考案したのは兄のレジン・ボウイだといわれている。
 

ホーニングオイル(Honhg Oil)
 砥ぎ上げ用オイル。

ボーンスタッグ(Bone Stag)
 牛骨を角のように加工し、染色したハンドル材。主にポケットナイフに使われる。

ポケットナイフ(Pocket Knife)
 フォールデイングナイフ中の小型のものをいう。ブレードや缶切りなど、多徳ナイフも含まれる。

ホローグラインド(Hollow Grind)
 ベルトサンダーのホイール面を使用してブレード面を凹状に削るグラインド法。

ポメル(Pommel)
 バットの項。

【マ】

マイカルタ(Micarta)
 米・ウェスティングハウス社の登録商標。紙、布、木を何層にも積層し、フェノール系樹脂などで加圧成型した、布入りベークライト板。

【ミ】

ミラーフィニッシュ(Mirror Finish)
 ダイヤモンドペーストなどを使ってブレードを鏡面に仕上げる方法。

ミリングマシン(Milling Machine)
 フライス盤ともいう。カッターを回転軸に取りつけて回転させ、加工対象材に送りを与えて切削加工する工作機械。穴あけ、平面切削をする縦型フライスと、溝を切る模型フライスの2種がある。

【ヤ】
焼もどし(Temperlng)
 焼入れしたままの鋼は硬く強いが、反面もろい。この弱点を修正するために行なう熱処理が焼もどし。
 鋼を550℃以下(ハイスピード鋼は除く)の適当な温度に加熱した後冷却する。すると鋼の靭性や機械的性質が向上するという効果が上る。なお、硬さは焼入れ時よりやや低くなる。

【ユ】
ユーティリティーナイフ(Utility Knife)
 非常に多目的に使える、ブレードの長さが4~5インチ位のナイフ。形状はクリップポイントで、ポイント付近のカーブは深く、ストレートの部分が長めのものが多い。

【ヨ】

洋白(Nickel-Silver)
 銅とニッケルの合金。光沢が美しく耐蝕性が良好。加工の難しさは、SUSステンレスに次ぐ。

440C(SUS440-C)
 マルテンサイト系ステンレス。JISでもAISIでも同じ表示。
 440ステンレス鋼には、炭素量に応じて、A、B、C、の各種があり、カスタムナイフにはそのうち最も高炭素の440-Cが使用される。ナイフに使用される鋼として耐蝕性は良好であるが、実用的硬度は57~58と低い。

【ラ】

ラブレスボルト(Loveless Bolt)
 皿ビスとワッシャー、ナットを組合せたファスニングボルト。ラブレス氏が考案した。

【リ】

リカッソ(Ricasso)
 ブレードのベベルストップラインと、ヒルトやガードとの間の平面の部分。刻印を使って名人れする場合には、この部分に入れる。

リネンマイカルタ(Linen Micarta)
 木綿布を何層にも積層し、フェノール系樹脂で加圧成型したハンドル材。耐衝撃性、耐蝕性にすぐれ、経年変化しない。
 

リバース(Reverse)
 オブバースの反対側のブレード面。通常は、メーカーの名前の入っていない面。裏面。

【レ】

レザーワッシャーハンドル(Leather Washer Handle)
 クツ底用の硬めの皮を輪切りにし、積み重ねてバットキャップで固定したハンドル。ランドールナイフのハンドルが有名。